私が住んでいるのは横須賀市だ。でも三浦市の小網代に事務所があるので小網代の町内会に入れてもらった。
昨年度はこの町内の班長の役回りでこの「義務」を果たしたら脱会しょうと思っていた。何故なら私達新参者はこの地とは実に係わり合いが薄くどうしてもよそ者感覚が抜けなかったからだ。それはなるべく係わり合いを避けようとする私達よそ者の責任かもしれなかったが地元の農家の人達もどこからきた?と胡散臭い顔していつまでもよそ者視する姿勢もあった。まさに水と油の関係だった。
町内の役員をしているドバシさんに、四月から町内会を脱退します。ここに住んでいないし、と言った。
ドバシさんはうーん、と首をかしげた。
もっと地元の人達と交流してみないか、と言った。
確かに地元の人達は難しい人達だ。でも裏も表も無いんだよ。私は新しくここに来た人達と地元の人達が仲良くなったら良いと思うんだよね。
水と油が乳化したようドバシさんはこの地にみごとに溶け込んだ人だった。
会社をリタアイヤした後海の好きなドバシさんは小網代に移ってきた。今は釣りにソフトボールに町内会にと実に生き生きと動き回っている。
住民票を横須賀に移してもいいけどさ、ここの町内会を脱退するなんて言わないで手伝ってよ。
そうだ、もうじき三浦道寸祭りがある。
我々は鎧兜で仮装して旗を持って行列するんですよ。
安達さんにもお姫様役あるか聞いてみるね!
私は噴出してしまった。お姫様役!?
夫は面白がって、お姫様?静御前と言うのは無理だからあなたがやれるのは北条政子の尼将軍だねと笑った。
後日ドバシさんが安達さんには流鏑馬で弓矢が的に当たった時旗を上げる役に決まったよと言う。
エー.....お姫様役じゃないの?ちょっとがっかりして言った。でも、その旗上げる役難しくないですか?
ドバシさんはきょとんとして、なんで難しいことある?当たったら旗上げるだけだよ、と言う。
ついに三浦一族を祭る三浦道寸祭りに参加することになった。
別れ際にドバシさんは言った。
あ、それから小網代の町内会の交流会で安達さんは地元の歴史を紹介する担当になったよと.....
いつの間にか私はすっかりドバシさんのペースに乗ってしまった。
三浦道寸祭りは5月31日である。