房総半島鴨川の山に昨年家を建てたホリウチさんは棚田を一つ契約した。
家の近くに広がる棚田の一つを昨年借りたのだ。
房総半島は開発でダンプカーが山を崩して土を谷や海に運んでどこかで土地を造っている。土地を造る材料になった美しい山は消えその跡に痛ましい無残な傷跡を残している。それでも三浦半島より大きな房総半島は比較にならないほどの自然にあふれていて、深い山の連なり、谷間の奥まで田んぼが作られて美しい里山の棚田を造っている。しかし農耕器具が入らない棚田で手作業で米を作るという激しい労働の割りに収入の少ない農業を継ぐ若者は無く、年寄りがやっと棚田を維持している状態で棚田はどんどん消えていった。言われて見ればあちこち草だらけになって放置された田んぼも多い。
今働き手を無くした棚田を農家ではない人々が一年契約で借りて米を作るという試みがされている。今美しい里山の風景は農家でない人々が守ろうとし始めている。
先月末夫と二人で房総半島をドライブした。
棚田には水が張られて、鶯が鳴き、ツバメが飛び交いカエルが鳴いていた。
田植スタンバイだった。
昨日の5月5日はホリウチさんの田植の日だった。
昨日は快晴に恵まれて東京育ちのホリウチさん、水の中の初めての田植はさぞ気持ちが良かったと思う。
腰が痛くなったのではないかしら?
ニコニコしながら今日も優しく風になびく細い苗の列を見に行ったホリウチさんが目に浮かぶ。