アルハンブラからコルドバまでバスで二時間。
コルドバのバスターミナルからタクシーに乗る。
タクシーの通る幅しかない白くて細い道をくねくねと曲がって着いたホテルは「バルコン」という十部屋だけの小さなホテルだった。
小さいながら中庭が三つもあるこのホテルは700年前の建物だと聞いた。
案内された部屋におどろいた。
とにかく広くて、私が今まで泊まったホテルで一番広い。
こんなに広い部屋は予約したはずが無いが、ホテルの何らかの事情でこの部屋になったらしい。しきりとお金の心配する私に「だから、大丈夫だよ」と夫が言う。
広いのはともかく、インテリアが素晴らしかった。
白に近い大理石の床にバニラアイスクリーム色の白い壁。白いカーテン。
古い木のドア、木の家具、真鍮のスタンドのシェードは生成りの白。
褪せたブルーのクッションが差し色に使われている。
私の大好きな色の使い方だった。
古いテクスチュアが程よく混ざる。
差し色のトルコブルーがあちこちに使われている。
部屋に入ることを期待させる空間の取り方
このナイーブなインテリアを手がけた人は多分女の人だ。
私が一番好きな部屋。
私がいつも目指していたインテリア。
ただ、ここまでの仕事は出来なかったけれど…嫉妬するほど、美しい部屋。