四年前からの原因不明の咳で悩まされている。
三つ目の病院で、これは網谷病ではないかと思う、とS先生から言われた。
肺が縮んでゆく珍しい病気とのこと。
残念ながら治療法はまだ見つかっていないと先生は言う。
だけど、四国の高松赤十字病院の網谷先生のセカンドオピニオンを受けた方が良い。網谷先生が見つけた病気だから、はるか僕より多くの情報を持っていらっしゃるはずです。僕だったら四国に行きますよ、自分の体のことだから…
そんなわけで、三日前、飛行機に乗って四国に行ってきた。
穏やかな笑顔の網谷先生は一時間のセカンドオピニオンを、診察に切り替えて、血液検査、レントゲン撮影、CTスキャン撮影、をして丁寧に診察してくださった。
多分、違うんじゃないかな、断言はできないけれど。網谷先生が、そう言った。
咳の原因は探さなくてはいけないけれどね。セカンドオピニオンは二時に終わるはずだったが、病院を出たのは四時半だった。
感動しながら、高松病院を後にした。
こんなに親身に診察してくださった先生は初めてだった。
何しろ、聴診器を当ててくれたのは、この四年間で網谷先生が初めてだった。
今までの、先生達はパソコンの画面ばかり見て、患者の顔をロクに見ることも無かったし…
高松赤十字病院は、きれいな病院だった。
山本容子の明るい大きな絵が壁に飾られている。
癌になったら相談するコーナーも入口の近くにある。
セカンドオピニオンの受け方の窓口もある。
院内におしゃれな花屋があるから、お見舞いに花を持って来ても良いのだ!
花束を持っていったら、断られて、しょんぼりと持ち帰る切なさもないもの。
並んで座って、今夜はどこに泊まるんですか?と聞いてくれた看護士さんも優しかった。
良い病院だねぇ…
こんな病院が三浦半島にあったら良いのにね。
私、入院するなら、ここが良い。
ここじゃ、お見舞いに来れないよ、と夫が笑った。
良いよ!来なくたって。
体の方は、ひとまず解決。
あとは気合で咳をなくすこと。
気合だ!気合。