出先でマリーから電話をもらった。
「玄関の前に野菜を置いておいたから。かたちは悪いけれどすごく新鮮だから、食べてね。」
夜、家に帰ってみると、段ボールいっぱいに光り輝く野菜が入っていた。それにしても、すごい量だ。
「食べきれないよ」とマリーに言ったら、一言「食べれるよ」の返事。
水を一滴も使わないトマトのカレー作ってごらん。
それから、マリーがトマトのカレーの話をしてくれた。
トマトの赤はとっても栄養があるんだから。
すごく美味しいから。
マリーと話をしていたら、無性にそのカレーが食べたくなった。
それで、真夜中であったが、私はカレーを作り出したのである。
以下、マリー伝授の、トマトのカレーの作り方
まず、たっぷりのニンニクとショウガをみじん切りにして鍋に入れて油で炒める。
良い香りがしてきたら、完熟トマトのざく切りを入れてザッと炒めてから火を弱めてコトコト煮る。
トマト何個切るのかって?
私は大小さまざまな真っ赤なトマトを六個ぐらい切ったかな。良いのですよ、テキトーで。ただ、トマトは完熟であるということが、大事かな。
トマトを煮ている間、茄子をザク切にしてラップをかけてレンジで加熱する。こうすると、スポンジのような茄子はしっとりと柔らかくなるのだそうだ。
茄子も鍋に入れる。茄子の紫もブルーベリーと同じ栄養があるとか。
コンソメスープの素を二個入れて…
カユリさんからもらったベイリーフをちぎって入れる。
そうだ!ベーコンもスライスしてダシを取ろう!
市販のカレールウは無かったから、カレー粉と小麦粉を混ぜて、トマトの煮汁で溶いて鍋に入れる。
冷蔵庫には薄切りの肉しかなかったのでそれを適当に。
この場合は、むしろ薄切りの肉の方が火の通りがよさそうだ。
真夜中のキッチンは美味しいカレーの匂いに満ち満ちた。
最後に塩を少し足して、味を整える。
おー…うまい!!!!! なんだ?ただ事ではないこの旨さは!
すっごく、おいしいトマトカレーが出来てびっくりした。
これがマリーから聞いた水が一滴も入らない、栄養満点のカレーである。
めったに妻を褒めることをしない夫の感想。
うーん…久しぶりに旨いカレーを食べた。
トマトってすごいね。
いやーびっくりしたよ。
玉ねぎのみじん切り入れたら、ちょっと甘味が出て、もっと美味しいくなるかも。そんな話をしながら、結局二人で鍋を空にしてしまった。
レシピ?
レシピなんて無い。だって料理は芸術だから、とマリーは言う。