さあ!また海を渡って 安房へ渡るのだ。
百首城を攻略だ。
行こう!と言ったら、夫は「エー… またかー?んー‥ 一泊して、忘年会をやるのなら行ってもいいけど」との消極的な返事。
二人で忘年会もどうかと思うけれど、それもまあ良いかと金谷近くの小さなホテル『ゆうみ』を予約する。
さぁ、いよいよ百首城を攻めるのだ。
百首城は富津市の竹岡、海岸にそびえる山城である。
ここで、武田氏、里見氏、そして正木氏、時には北条氏が戦った城である。
切り立った崖に囲まれ水軍の軍船を繁留する白虎川のほとりにある城である。
誰もが欲しがる江戸湾を制覇するための名城である。
東の尾根から山頂に向かう。
ウワッ いきなりのド迫力のトンネルがあらわれる
尾根に上がり、道なき道を探しながら上へ上へ登る。
道はあるが、ほとんど人が入った様子は無い。
山頂の平場に着いたが、木が繁茂し、残念ながら海は見えない。
山頂を曲輪がいくつも囲んでいる。
切り岸、切通が大きくて魅力的な山城である。
地図を見てもどこがどうなのか分からなくなり撤収を考えていたところに九人の男性に出会った。
聞けば、百首城の勉強会とのこと。
良い所で出会ったよ。この方は島田先生でお城の専門家。
一緒に歩きましょう、と誘っていただき島田先生の説明をお聞きする。
旦那さんも大変だねぇ~
ホント、もー大変ですよぉ~
後ろで そんな会話が聞こえる。
九人のうち上品な島田先生と、富津市役所広報課の若いお兄さんの二人以外の七人は悪ガキの幼馴染がそのまま仲良く六十歳になったらしい竹岡っ子。
もうちょっと早かったらイノシシと遭遇できたのに、と目を輝かせて皆さんが言う。残念!
楽しかった。皆で幻の井戸を見つけたり、道に迷ったり…
半世紀前の子供時代に戻ったみたいだった。
皆で裏山に入って冒険ごっこをしたあの頃を思い出す。
最後は道に迷って、崖のようなところを尻もちついたり、転んだり。
海辺に降りてイノシシの電気柵を三つまたいでようやくたどり降りたのは、防犯センサーで守られた別荘の敷地の中だった。
今さら山へ戻れず 皆で鉄の扉を引いて脱出。
笑った、笑った。こんなに思う存分笑った日は久しぶりだ。
皆さん、竹岡の魅力を発掘しようと立ち上がったそうである。
海の向こうの三浦からここに来るくらいだから 有名なんだよな この百首城は、と皆さんが言った。
百首城は魅力的ですよ!
この鬼気迫る迫力満点の山城の雰囲気は三浦半島にはもうありません。
夫は、この城山は 道を整備すれば 観光スポットになると言う。
でも、竹岡壮年探検団の皆さんそのものも 竹岡の魅力じゃないでしょうか。
海辺の「まるとし食堂」で素晴らしく美味しいカワハギの煮魚も一緒に食べてお別れした。
今日は腕が痛い。
昨日は猿のように蔓や根っこにぶら下がりながらの山城探検だったから。
楽しかった探検を思い出すたびに笑っちゃう。
「大変な旦那さん」も昨日はかなり楽しんでいた様子。