明日は風が吹くと聞いた。
お夕飯の後、夫と通研通りの桜を見に行く。
夜目にも薄紅色の桜の花の枝はホワホワと微かな風にも揺れる。誰もいない 白い夜桜のトンネルがずーっと坂道になって続く。
満開の絢爛たる 夜桜を見上げる。
私達二人一緒に あと何回この桜の下を歩けるだろう。
20回? 見れるかな。 無理かな…
生まれてこの方 私の歩いてきた道を振り返ると、その道の向こうはうんとかすんで遥か遠くて見えない。
しかし、あそこの角を曲がれば、思いのほかすぐ近くにこの道の終点があるような気もする。
満開の桜の木を見上げて、
ああそうか もう君はいないのか‥‥そんな言葉が心から滲んでくる
そんな日もいつか必ずやって来る
そうつぶやくのは あなたか 私か
今年の桜はいつになく豪華だ
翌日の南風は思う存分 花びらを散らして 道を白く染めた。
潔く桜の季節は終わった。