陸前高田へ向かう時、私達は常磐自動車道の広野ICから福島第一原子力発電所の横近くの国道6号線に入った。そこは放射線量が多く帰宅困難地域に指定されたゴーストタウンだった。
田畑は背丈の高い草に覆われて家も5年間で繁茂した木々に埋まっている。
荒れ果てた荒野の中の中の国道も雑草が茂り、行き交う車はダンプカーばかり。
モノトーンの胸が塞がる荒野の中で
いきなり鮮やかな黄色の花畑が広がった。
青い空 黄色の菜の花畑
そこは、人が暮らせない場所の筈だった。
田畑で耕作することは出来ない土地の筈だった。
誰も来るはずがないこの放射線に汚染された大地に広がる一面の菜の花畑
私は、とっさに思った
これは鎮魂の花畑‥‥だ
この花畑を作った人は 誰だろう
その人は誰のためにこの広大な菜の花畑を作ったのだろう
昨日の新聞で知った
それは 『夕凪の花園』だった
東京電力福島第一原発から南へ約3Kの福島県大熊町熊川地区
津波で行方不明になった娘の名を付けた「夕凪(ゆうな)の花園」
「天国の夕凪に見せたくて」
今も創作を続ける父木村紀夫さんとボランティアが昨秋、雑草に覆われた田を耕し、種をまいた
空の下に 鮮やかな黄色の絨毯が広がる