翌日は鴨川市の金光寺へ行く。
無住の小さなお寺は450年近くたっている。
火事に焼けた記録は無いので天井裏に棟札があると思うという檀家さんの言葉。
ムトウ君は身支度をして天井裏に登った。しかしここにも棟札は無かったのである。
夫とムトウ君は言う。「何百年もたっているなら、こんなものだよ」
正木時治はサラリと私から離れて行った。
450年前の男、時治を追っかけるという 私の酔狂な夢に付き合ってくれた優しい二人の相棒。
海の道を通って相模国へ帰る。
横須賀に帰ってから回転寿司へ行った。
さぁさぁ、好きなお寿司を好きなだけ食べて。
本当にありがとう。こんなに暑い日に天井裏に登らせてしまってごめんなさい。ありがとう。
お寿司は私のお礼です。
残念だったね
こんなもんです
そうだよ
さっそく、トロの大切りを三皿頼んでビールで乾杯。思いっきり食べた。夫はラーメンも。ムトウ君はお寿司の合間に串団子とチョコレートケーキまで食べた。
お腹一杯になって、帰ってから公園で花火を見る。
ダダーン
ドドーン
ドーン
最後の花火が豪華に終わって
静まり返った
草むらの虫の声が一斉にその静けさを埋め
涼しい夜風が一筋吹きわたり
夏が終わった。