月を見に行きました
月を見るのは 琴音海岸
大きな黒い鳥の形をした雲が月を背中に乗せて
東から西へとゆっくり飛んでます
遠くの海面は月の光を受けて
青白く光って
私は砂の上に座って
黒い鳥が飛び去るのを待ちました
ドブーン ザ― と柔らかい波の音
三浦道寸はこの砂浜に立った時
かすかな琴の音を聞きました
キンキラ コロコロ
キンキラ コロコロ
彼は波打ち際に近づいて波の音を聞きました
ドブーン ザー
ドブーン ザー
ここで彼は濡れた観音様を拾ったのよ
だから 彼はこの海岸に
琴音海岸という名前を付けました
多分500年昔の その夜は満月だったのでしょう
やがて黒い鳥は飛び去って 尾の方から月が覗いたわ
丸い月は 砂浜と海を銀色に照らし
黒く滑るような波打ち際には
星屑を蒔いたように光の粒
金銀砂子は囁く
キンキラ コロコロ
キンキラ コロコロ
私の小さなボーイフレンドの海の音は この海岸が大好きで
ムトウ君のところに生まれた赤ちゃんに
琴音ちゃんというきれいな名前を付けました
ことねちゃん って
ああ‥ 月を見るのは琴音海岸が最高ねって
私は夫に言いました
金の光りの散った 波打ち際を見つめながら