賑やかなお夕飯が終わって
息子とキョウコちゃんとハルトは帰った
チャイルドシートに座ったハルトは
真剣な目をして
開いた手を差し出した
最初にジージの大きな手と合わせて
次にバーバの手を合わせて
またね
また遊ぼうね
バイバイと手を振って
私達は 車の赤いテールランプが見えなくなるまで
見つめていた
家に入ってドアの鍵を掛け
玄関の灯りを消して
私はキッチンに立って
四つのお湯のみと一つのコップを洗った
その時 チャイムが鳴った
息子が戻って来たのだ
ハルトがもう一度ジージとバーバーとタッチしたいって
どうしても もう一度タッチしたいって
私達は 笑いながら外に出て
車の中の ハルトとタッチする
最初にジージの手と合わせて
次にバーバの手を合わせて
それから 泣きそうな ハルトの目
またね
また遊ぼうね
バイバイと手を振って
私達は 車の赤いテールランプが見えなくなるまで
見つめていた
ねえ ハルト
別れることは 悲しいことなんだって
あなたは だれから 教わったの
ねえ ハルト
私達は 車の二つ赤いテールランプが夜の闇に消えるまで
見つめていた
悲しみは どこから来るのだろう
別れは
それがどんなものであれ
悲しいものであると
どうして あなたはそれを知ってるの
ねえ ハルト