海の音は 私達に物語を語った
五百年前 モンちゃんは鷹だった
のんちゃんは 北条氏の鷹匠で
引橋の北条氏の陣から モンちゃんを空に放つ
モンちゃんは 引橋を超えて 小網代の森の上を飛び
新井城に籠る 三浦一族の偵察を使命とする
新井城の上を モンちゃんはぐるりと旋回し
そして 見下ろす
土塁に囲まれた御殿の上を飛び 三浦道寸を見る
そしてまた 小網代の森を 越えて
私の方へ帰って来る
西の空から降りて来る
バサバサと羽音を立てて
がっしりと私の腕の上に乗る
33gのモンちゃんは
翼を広げると1m
1.5Kgの逞しい鷹になった
海の音は モンちゃんに「紋」と命名した
紋!びっくりしたよ
こんなに逞しくなっちゃって!
私の腕に乗り 私を見つめる紋の瞳の中の光りは
あの夜の モンちゃんの瞳の中の光りと同じだね
こんなに早く 私の所に帰って来るなんて
紋!びっくりしたよ
さあ、紋
教えてよ
新井城で 彼らは どうしていたの?
「三浦一族の百年の物語」のタイトルが正式に決まった
「月の道」
サブタイトルは 三浦一族百年の物語