4日の続き。
扇山を迂回して反対側の車道に出る。
山尾根を切り通してこの車道を造ることにより三浦古道が断ち切られてしまった。
さて、ここから断ち切られた道の端をどうやって探そうか、と地図を開いて立っていると、目の前の農家からグットタイミングで農作業姿の御主人が出てこられた。
多分このあたりに衣笠城へ行ける道があると思うのですが........
ああ、その道はうちのここから入っていくんだよ。
地図を挟んで三人でしゃがみ込み道を教えて頂く。
ここを登って行くと道にぶつかる。
左へ行くと庚申塔がある別れ道に出る。
そこを右に折れて山道を入るんだよ。
でも横須賀市の埋め立てゴミの場所になってから尾根は断ち切られて崖になり、もう行くことは出来ないと思うけれど....。
もしかして....山田さんですか。
そうだよ。
え?江戸時代、このあたり一帯を農地開発した山田一族、あの山田さん?
どこかで繋がっているんだろうね。でもここらはみんな、山田だよ、と日焼けした顔で笑った。
ここで山田さんに会うなんて、なんという偶然。
山田さんがこの時間、ここに来てくれなかったら多分私達は古道の入り口を知ることは出来なかったと思う。
扇山の裾野で会った鳴川さんといい、そしてまたここで山田さん。
親切でおせっかいな和田義盛さんがまた山田さんのご先祖様に話しておいてくれたとしか思えない。
あと27分したら、ここにあった衣笠城へ行く道を知りたがる物好きな夫婦がここに来るはずじゃ。教えてやってたもれ。
山田さんのご先祖様が山田さんに、おい義盛殿の仰せじゃ。行ってやれ。
この忙しいのにまったくよ...と思いながら山田さんは、家から下りてきてくれた。
違う?
私達は山田さんに教えられた道を歩き始めた。
木漏れ日の中の細い道。
草に埋もれた庚申塔。
胸がときめく三浦古道だった。
だが、そのときめきも100mほど進んだ所でおしまいになる。
細々続いた道は片足も踏み込めぬひどい藪にふさがれる。
仕方なくゴミ埋め立て地の広い道路へ迂回して今度は、衣笠城へのハイキングコースに入って城址に着いた。
次回はどうする?
まず、図書館に行って縮尺の大きい地図を用意するでしょう。
それに磁石だ。
それから、道しるべ用の赤いビニールテープ。
カッターに鉈。
鉈か........。
私達の探検もなんとなく本格的になってきた。
次回へ続く