旅に出て 夫が撮った写真の中の私を見て 愕然とした。
私の立ち姿は 姿勢の悪さに加え なんという蟹股なのだ …
ビデオは最悪だった。熊が二本足で歩いているみたいだ。
落ち込んだ私に夫が言った。
足が開かないように 意識して歩いてごらん。
蟹股で歩いている私にとって、これはなかなか難しかったが、「意識して歩いていれば、大丈夫だ」という。
それでも、気が緩むと蟹股になっている。
夫が注意してくれる。「足が開いているよ。」
その時、いつも父を思い出す。
教員だった父は私が小学生の低学年の頃、教育委員会の指導課にいた。
新潟県の隅々の学校へ行って、教育指導をしていた。
新潟県はとても広い。だから、出張が多かった。
訪問した学校で授業参観をするという。
父がこんな話をした。
いやー、びっくりしたよ。
父ちゃんがね、山ん中の小さな小学校に行った時のことさ。
その小学校の女の先生が、一年生を集めて講堂で体育をしたんだ。
皆で歌いながら 「むすんで ひらいて」ってね。
むすんで ひらいて
手をうって むすんで
ここまでは良かったんだけれど、次だ。
またひらいて
この時、一年生全員がパッと飛んで足を開いたんだな。
手をうって
その手を 上に